「有珠山だより」その1


島原ボランティア協議会 高木浩徳 氏    島原新聞 平成12年5月12日


FMレイクトピア開局

北海道・有珠山は、23年ぶりの噴火から先月30日で1ヶ月を迎えました。
火山活動は北西山ろくを中心に依然活発ですが、
今のところ大きな変化はないようです。

同じ噴火災害を体験した普賢岳のふもと住民の一人として現在、
こちらのボランティア活動にかかわっています。

噴火直後の4月はじめに、島原ボランティア協議会の代表として旭芳郎さんと
10日間ほど現地入りして以来、今回は二度目の北海道入りです。

まずこちらの状況を簡単に紹介します。
有珠山は現在、目立った地殻変動は見られないようですが、
北海道大学地震火山センターなどの観測によると、
1977年の噴火の際には、
噴火が始まって半年後の78年2月に新たな活動が再開し、
8〜9月に大規模な噴火が起こっており、
また、昭和新山生成の場合も第二の活動が見られたことから、
今回も第一段階は終わりつつあるものの、次の第二段階の火山活動への
厳重な警戒が続けられております。

ふもとの伊達市と虻田町、壮瞥町では4月中旬に避難指示を一部解除しましたが、
約8000人の住民のみなさんが今も避難所などで暮らし、
自宅へ戻れるめどは立っていません。

こうした中で今月5日には、完成したばかりの壮瞥町の仮設住宅(計22棟)への
入居も始まりました。
仮設住宅は虻田町や豊浦町でも建設中ですが、入居は今度が初めてで、
避難所暮らしに疲れた入居者の人たちは
「これからはゆっくり眠れそうだ」と喜んでいます。

さて、
私たちボランティアの活動面では、大きなニュースがあります。
これまで被災地ではなかった初めての試みとして、
民間ボランティアが主催するFM放送局が5月8日、虻田町に開局したのです。

この放送局は、避難生活を送っている被災者のみなさんに、
火山情報や災害の発生状況、避難場所への誘導などを速やかに伝達し、
同時に避難所の様子やボランティアの行事、行政情報を限りなくリアルタイムに、
きめ細かく広く伝え、併せて、住民のみなさんの災害による精神的ストレスを
少しでも緩和できるようにとつくられたものです。

番組への住民参加や地域独自の放送を通じてふるさと意識を高め、
地域のコミュニケーションを促し、まちづくりの一翼も担います。

放送用の設備は国から貸与された出力30ワットのもので、
放送免許も取得した本格的放送です。

虻田町の洞爺湖温泉街には、数年前から地元有志が開設した
ミニFM局「FM湖夢」がありましたが、
現在は避難を余儀なくされており、「FM湖夢」のスタッフも新しくスタートした放送局で
やる気満々で動き回っています。

放送局は虻田ふれあいセンターの二階の1室につくられていますが、
本格的スタジオ設備はないため、
電話のベルやまわりの大声などをマイクが拾ってしまう状況です。
それでも、ボランティアの面々ができるだけクリアな音を放送しようと奮闘中です。

5月8日に始まった初放送では、曲をまちがえてかけたり、コーナーの時間が余ったり
いろいろなことがありましたが、手作りの良さがあってとても楽しい放送でした。

番組内容は、
虻田高校放送部のコーナーや行政情報コーナー、ボランティア情報コーナー、
避難所の声コーナーなど地域に密着したものとなっています。

放送時間は毎日正午から午後7時までの7時間で、全国からのメッセージのコーナーもあり、
島原・水屋敷の石川さんのファックスも紹介されました。

来週からはインターネットを通してパソコンで放送が聞けるようになる予定です。

メッセージはハガキ、ファックス、パソコンによるEメールで受け付けています。

電話(0142-76-3460)、ファックス(0142-76-1415)、
スタジオ住所(北海道虻田町本町58-3 あぶたふれあいセンター二階FMレイクトピア)