「虻田町の児童ら深江町に」
ロータリーがプレゼント

平成13年8月4日 島原新聞      


力強く生き抜く勇気を

有珠山と普賢岳−噴火災害で交流


北海道・有珠山の噴火災害で被害を受けた虻田町の児童・生徒14名が二日、
普賢岳噴火災害で被災した深江町を訪れ、
火砕流で焼けた旧大野木場小学校校舎を見学し、災害を乗り越えた同小児童らと交流した。

来島したのは虻田町内の洞爺湖温泉小・中、虻田小・中、など5校の児童・生徒たち。

有珠山のマグマ活動は終息し、
虻田町では今年5月、約一年三ヶ月ぶりに避難指示が全面解除されたが、
洞爺湖温泉小・中の子どもたちの大半は今も隣接する豊浦町や伊達市、虻田町等に散財する
仮設住宅からスクールバスで通学しており、なかでも洞爺湖温泉小の児童は、
廃校に間借りした状態で、まだ新校舎は建設されておらず、厳しい生活を続けている。

このような状況から
北海道の国際ロータリー第2510地区社会奉仕委員会と洞爺湖ロータリークラブでは
「逆境の中で必至に学んでいる子どもたちや、避難生活から日常生活に復帰して間もない子どもたちに、
 火山と共生しながら力強く生き抜く勇気を与えよう!」
と支援事業を計画。

噴火災害で学んだことや古里の魅力、自分たちの暮らしなどについての作文コンクールを実施し、
入賞者14名に普賢岳噴火被災地との交流旅行をプレゼントした。

同日午後3時半ごろ深江町に到着した虻田町の子どもたちは、
大野木場小学校の新校舎で行われた同校児童との交流会に出席した。

深江町の上田和春教育長は
「噴火災害では毎日が降灰との闘いで、島原・深江の住民、子どもたちもたいへん苦労した。
 一生のうちには苦しいこともあるが、それを乗り越えていけるのが人間。
 皆さんもこの困難を乗り越えて立派な大人になってほしい。」
と励まし、

大野木場小学校を代表して伊藤枝里香さん(6年)が
「ようこそ、お待ちしていました。
 三日間ですが、思い出をたくさん作って帰ってください。」
と歓迎した。

同小の太田理教頭が普賢岳噴火災害の記録ビデオをもとに、
プレハブ校舎での学校生活や仮設住宅からの通学など、
現在の虻田町の児童の生活と同じだった状況を紹介し、
「大野木場小の子どもたちも辛い思いをしたが、
 全国からのご支援を受け、屈託なく明るく過ごしていた。
 虻田町の皆さんも今はたいへんだが、きっと元のように戻る。」
と激励。

虻田町の児童・生徒を代表して虻田中3年の越智みずほさん(14)が
「学んだことを虻田町で発表し、これからの生活に生かしたい。」
とお礼の言葉を述べた。

大野木場小学校の児童の案内で虻田町の子どもたちは、
見違えるように立派になった新しい校舎や体育館を見学した後、
被災した旧大野木場小校舎を見て、普賢岳噴火災害の猛威を学び、
道の駅・みずなし本陣の土石流被災家屋保存公園を見学し、宿泊先のホテル南風楼へ。
3日は島原市内で被災を見てまわった。