「火口近くの住民集団移転すべき」

平成12年5月7日 長崎新聞


有珠山の専門家

「火口近くの住民集団移転すべき」
  仮設住宅入居始まる

北海道・有珠山は6日も西山西側と金比羅山の二つの火口群で噴火活動を続けた。

長引く噴火の状況を住民に直接説明しようと、火山噴火予知連絡会有珠山部会長の
岡田弘北海道大教授らによる初の説明会が同日夜、壮瞥町で開かれ、岡田教授は
「火口近くの住民は集団移転を」と述べた。

一方、同町では仮設住宅が完成、他市町に先駆け、5日から入居が始まった。

専門家による説明会場となった壮瞥町公民館には約200人が詰め掛け
「一時帰宅の見通しは」「次に噴火するのはどこか」などの質問が相次いだ。

岡田教授らは火口のビデオ映像などを示しながら
有珠山の隆起や火山性微動の移り変わりを説明。

「火口近くの住宅は使える状態ではなく、復興よりも集団移転を考えるべきだ」と主張した。

完成した仮設住宅は1K(1人用)1DK(2−4人用)2DK(5人以上)も3タイプ。
84戸に約250人が入居した。家賃は無料で、期限は2002年5月まで。

無職箱木麗子さん(61)は仮設住宅に入るとすぐ、
死別した夫の位はいを衣装ケースの上に安置した。
「車に置いていたのでかわいそうで」と語った。