長崎新聞
平成14年7月11日(木)「コラム「記者の目」 育てていこう災害記念館」
育てていこう災害記念館
(島原支局:山田貴己)
島原市で今月1日、雲仙岳災害記念館が開館した。
当初、同館パンフレットの
「火砕流が走る、驚きが見えてくる」
「知的エンターテインメント」などの
派手な文面に、若干の違和感があった。
今でも大火砕流惨事の犠牲者遺族や被災者を取材すれば
「あの日は終わらない」と語る人は少なくないし、
災害の後遺症を抱える人もいるためだ。
しかし、被災地の同市で
災害の記憶の風化が指摘されているのも事実。
県外では一層、噴火災害を考える機会は少ないだろう。
福岡市から来館した観光客は
「災害の惨状が少しわかった。
復興まで大変な努力だったんでしょう」と語った。
観光客が、
同館で噴火災害の脅威の一端や
困難に立ち向かった被災地の経緯を知り、
災害を身近な問題として受け止めたならば、
島原の噴火体験や教訓は生かされることになる。
産声を上げたばかりの同館。
一過性の思い出や興奮で終わらせない施設に
育て上げるのは地元の役割でもある。
そこで提案。
同館には三宅島関連の情報が少ない。
全国からの義援金も活用した火山体験学習施設である以上、
現在進行形で噴火災害に苦しむ三宅島被災者への支援に、
来館者が関心を向けるしっかりした仕掛けが必要ではないだろうか。
「雲仙岳災害記念館」http://www.udmh.or.jp/