島原新聞

平成14年7月24日(水) 「島原を参考に今後の施策」


〜大きい基金が果たした役割〜
義援金の額にも大きな差
二年近く全島避難の三宅島

火山ガスの放出で全島避難を続けている
東京都三宅村の職員が23日、
島原市を訪れ普賢岳噴火災害からの
復旧や復興に向けた取り組みを視察した。

三宅島の噴火は平成12年7月に始まり、同年9月から全島民が避難。
住民らは住み慣れた島を離れ、
首都圏を中心に分散しての生活を2年近く続けている。

東京都は災害復旧計画を策定しており、
砂防や治山事業等が進められる計画だが、
火山ガスの放出により通常とは異なる災害復旧作業で
困難を極めている、という。

来島したのは、都の派遣職員の池田匡隆課長と、
同課連絡調整係の菊池健一郎氏の2名。

活火山法に基づく施策のうち
特に
「農業関係で実施できるものの調査」や
「住民が帰島した際の避難マニュアルづくり」、
「個人への公的支援策」

の3つが視察の目的。

島原市の嶋井助役と深浦仁災害対策課長らが対応し、
このあと同課職員から避難体制緊急時の連絡体制
活火山法で適用される事業降灰の除去方法など
普賢岳噴火災害での取り組みについて説明を受けた。

池田課長は
「普賢岳被災地とは義援金の額が大きく異なり、
 公的支援のための基金造成という
 課題をクリアするには理論武装が必要だ。
 普賢岳の場合は行政が積極的に
 住民と接触を多く持って取り組んでおられ、
 基金が果たした役割の大きさを感じた。
 普賢岳被災地の取り組みを今後の施策に生かしていきたい」
と話した。

また、三宅島では有珠山や普賢岳、桜島などと
火山対策ネットワークを構築する構想があり、
島原市とも事務レベルでの話し合いが進んでいる、という。

一行はこのあと、防災施設等の現地を視察。
三宅島への義援金箱が設置された雲仙岳災害記念館には
三宅島の被災状況や復興に向けた
避難住民の生活などを撮影した写真を届けた。